○鰺ヶ沢町低入札価格調査制度実施要領
平成27年10月16日
訓令第50号
(趣旨)
第1条 この要領は、鰺ヶ沢町が競争入札の方法により建設工事(建設業法(昭和24年法律第100号)第2条第1項に規定する工事をいう。以下「建設工事」という。)の請負契約を締結しようとする場合における低入札価格調査制度の実施について必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この要領において、低入札価格調査制度とは、競争入札の方法により建設工事の請負契約を締結しようとする場合において、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第167条の10第1項(同令第167条の13において準用する場合を含む。)に規定する予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者(以下「相手方となるべき者」という。)の当該申込みに係る価格によってはその者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるときに、必要な調査を行い、当該調査の結果に基づき落札者を決定する制度をいう。
(対象となる入札)
第3条 低入札価格調査制度は、1件の設計金額(税込)が1億円以上の建設工事の請負契約に係る競争入札に適用する。
(調査基準価格)
第4条 建設工事の請負契約に係る競争入札において、相手方となるべき者の当該申込みに係る価格によってはその者により当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがあると認めるときの基準は、その者の申込みに係る価格が予定価格算出の基礎となった次に掲げる額(当該額に、それぞれ1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)の合算額に100分の110を乗じて得た額(当該額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額。以下「調査基準価格」という。)に満たない場合とする。この場合において、その額が設計金額に10分の9.2を乗じて得た額(当該額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額。以下同じ。)を超える場合にあっては当該設計金額に10分の9.2を乗じて得た額とし、設計金額に10分の7.5を乗じて得た額(当該額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額。以下同じ。)に満たない場合にあっては当該設計金額に10分の7.5を乗じて得た額とする。
(1) 直接工事費の額に10分の9.7を乗じて得た額
(2) 共通仮設費の額に10分の9を乗じて得た額
(3) 現場管理費の額に10分の9を乗じて得た額
(4) 一般管理費の額に10分の6.8を乗じて得た額
2 前項各号に規定する工事費目以外の工事費目については、設計図書においてその取扱いを明示することとする。
(予定価格調書への調査基準価格の明記)
第5条 調査基準価格を設定したときは、別紙1を参考に予定価格調書を作成し、その額を記載するものとする。
(工事費内訳書の提出)
第6条 対象となる入札に参加しようとする者は、当該入札に関し、入札価格決定の根拠となった積算金額の内訳書(以下「工事費内訳書」という。)を提出しなければならない。
2 工事費内訳書の提出がない者及び入札価格と合致しない工事費内訳書を提出した者がした入札は、無効とする。
(入札参加者への周知)
第7条 契約担当課長又は契約担当者(以下「契約担当者等」という。)は、対象となる入札を行うときは、入札に参加しようとする者に対し、次に掲げる事項を周知する。
(1) 当該入札は、低入札価格調査制度の対象となる入札であり、調査基準価格が設定されていること。
(2) 調査基準価格に満たない入札が行われた場合(総合評価競争入札において評価値が最も高い者の入札価格が調査基準価格以上である場合を除く。以下同じ。)は、落札者の決定を保留し、その入札価格によって契約の内容に適合した履行がなされるか否かを調査し、後日落札者を決定したときは、速やかに落札者に通知すること。
(3) 調査基準価格に満たない入札を行った者は、最低の価格をもって申込みした者であっても必ずしも落札者とならない場合があること。
(4) 調査基準価格に満たない入札を行った者は、事後の事情聴取等に協力しなければならないこと。
(5) 工事費内訳書の提出がない者及び入札価格と合致しない工事費内訳書を提出した者がした入札は、無効とすること。
(6) 第9条に規定する基本的判断基準及び数値的判断基準を満たさない入札を行った者は、失格とすること。
(入札の執行)
第8条 入札執行者は、入札の結果、調査基準価格に満たない入札が行われた場合には、落札者の決定を保留し、地方自治法施行令第167条の10第1項の規定により後日落札者を決定する旨を告げて、当該入札を終了する。ただし、次条第3項の規定により落札者を決定した場合は、この限りでない。
(1) 基本的判断基準
当該入札前に調査基準価格に満たない入札を行った町発注の他の同業種工事(共同企業体の方法によるもの及び完成検査が完了しているものを除く。)について、落札者又は契約の相手方となっていないこと。
(2) 数値的判断基準
工事の費目 | 数値的判断基準 |
直接工事費 | 予定価格算出の基礎となった直接工事費の額の100分の75に相当する額(1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)以上であること。 |
共通仮設費 | 予定価格算出の基礎となった共通仮設費の額の100分の70に相当する額(1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)以上であること。 |
現場管理費 | 予定価格算出の基礎となった現場管理費の額の100分の70に相当する額(1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)以上であること。 |
一般管理費 | 予定価格算出の基礎となった一般管理費の額の100分の30に相当する額(1円未満の端数があるときは、これを切り捨てた額)以上であること。 |
3 契約担当者等は、前2項の規定による判定を行った場合において、当該判定の対象となった全ての者が失格となったときは、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした他の者のうち最低の価格をもって申込みをした者を落札者と決定するものとする。
(調査の実施)
第10条 契約担当者等は、前条第2項の規定により調査対象者が決定された場合は、当該調査対象者によりその価格によっては契約の内容に適合した履行がされないおそれがあるか否かについて、次に定めるところにより調査を行い、低入札価格調査委員会に調査内容を報告する。
(1) 契約する意志が確認された場合は、入札終了後、当該入札者に対し、速やかに次により調査を行う旨を伝えること。
ア 調査をする調査項目表(別紙2―1)を配布し、速やかに調査項目について文書で回答を求めること。
イ 当該入札時に提出した工事費内訳書の内容を聴取すること。
ウ 調査対象者が調査対象予定工事を下請負させる場合は、当該工事における第1次下請予定者及びその契約予定金額を記載した書面(施行体制台帳の様式を参考に作成させる。)の提出を求めること。また、当該下請予定者からの確認書(別紙3)の提出を求めること。
(2) 各調査項目への回答内容について、以下の点に留意して調査すること。
ア その価格により入札した理由
当該入札価格の積算内訳について以下の調査を行い、当該入札価格で当該工事の安全で良質な施工が可能かを確認する。
(ア) 仕様及び数量
a 数量総括表に対応する積算内訳になっているか。
b 設計図書での要求事項を理解して見積を行っているか。
c 指定の数量によって積算されているか。
(数量の指定のない場合は、業者の数量による。)
d 指定の工法によって施工することとしているか。
(工法指定がない場合は、その工法に安全性等の点で問題はないか。)
(イ) 資材単価、労務単価又は市場単価
資材単価、労務単価又は市場単価について、発注者の単価に比し相当程度低いと認められる場合は、当該単価の設定理由を記載した書類等の提出を求めるなど詳細な調査を行う。
(ウ) 安全対策
安全管理等の共通仮設費の計上内容について確認する。
(エ) 現場管理費
現場管理費の計上内容について確認する。
(オ) 一般管理費
一般管理費について、発注者の価格に比し相当程度低いと認められる場合は、当該価格の設定理由について確認を行う。
イ 手持工事の状況
手持工事の状況、配置予定技術者及び技術者配置状況について、以下の調査を行う。
(ア) 手持工事の状況
契約対象工事付近における手持工事及び契約対象工事に関連する手持工事の状況から間接費の削減が可能か。
(具体的には、営業損料、現場管理費等の削減が可能であるかどうか。)
(イ) 配置予定技術者及び技術者配置状況
a 工事予定箇所に関連する技術者(監理技術者等)について、配置予定を確認し、他の手持工事の状況との関係を確認する。
b 予定技術者について、名簿の提出を求め入札者との雇用関係の確認を健康保険証等の写しにより確認する。
ウ 当該工事場所と当該入札者の事務所、倉庫、資材置場、他の工事現場等との地理的条件内容について、以下の調査を行う。
(ア) 監督業務及び資機材運搬・管理等において、地理的条件等をかんがみ、経費等の削減が可能かどうかを確認する。
(イ) 緊急時の対応等、安全管理に優位性があるのかを確認する。
エ 手持資材の状況
手持資材を当該工事で活用するとしている場合は、具体の数量・活用方法等及び保管状況を写真等で確認するとともに、低価格との関連性について確認する。
【具体例】
① 仮設鋼矢板及び支保材、足場材、その他二次製品を活用する。
② コンクリート用型枠等を活用する。
③ 安全管理資材を保有している。
④ 当該工場に関連する手持資材の活用に優位性がある。
オ 資材の購入先及び購入先と当該入札者との関係
当該工事で使用する資材について、低価格での調達が可能としている場合、その根拠を資材販売店等の作成した見積書により確認する。確認できない場合は、取引先の意向を確認する。
【具体例】
① 手形取引でなく現金決済による値引きが可能である。
② 系列会社あるいは協力会社からの取引が可能である。
③ 永年にわたり取引がある。
カ 手持工事機械及び使用予定機械の供給方法
当該工事において手持ちの建設機械等を使用するとしている場合は、所属等を証する資料等で確認する。
【具体例】
① 手持ちの建設重機械等の活用が可能であり、損料計上が優位にある。
② 資産償却が終わっており、損料が不要となる。
③ 系列会社からの取引又は永年にわたり取引がある。
キ 労務者等の具体的供給方法
労務者の確保計画及び配置の内容について、以下の調査を行う。
(ア) 労務者について、確保計画及び配置予定によって適切な施工が可能であるかを確認する。
(イ) 労務者について、自社の者を従事させることとなる場合には、名簿の提出を求め、雇用関係の確認を行う。
ク 下請先及び下請内容
下請業者を予定している場合は、予定している施工体制台帳、施工体系図、下請業者の見積書及び下請業者の確認書の提出を求め、下請に係る見積額が入札金額の積算内訳に正しく反映されているか及び下記の点について確認する。
(ア) 下請業者が提出された金額で契約する意志があること。
(イ) 当該金額が建設業法第19条の3の規定に違反する不当に低い請負代金でないこと。
以下の場合には、その理由を記載した書類等の提出を求め、これに基づき詳細な調査を行うとともに、必要に応じて下請業者に内容の聴取を行う。
(ウ) 下請業者の見積金額が入札金額の積算内訳に適切に反映されていない場合
(エ) 下請業者の見積書等の工事内容(規格、工法及び数量等)が明確でない場合
(オ) 下請業者の資材単価、労務単価又は市場単価について、発注者の単価に比し相当程度低いと認められる場合
ケ 過去の町発注工事名及びその工事成績
内容について以下の調査を行う。
(ア) 過去に施工した2~3例の町発注工事(町発注工事を施工していないときは、その他の公共工事)について、その契約書、施工体制台帳、完成検査結果通知書等及び請負代金内訳書の提出を求め、内容の確認を行う。
(イ) 町発注工事において低入札発注工事の実績がある場合は、当該工事について、ア~クの内容を確認するとともに、工事成績を調査する。
コ 経営状況
(ア) 直近の審査基準日の経営事項審査結果通知書の提出を求め、自己資本額、経常利益額、完成工事高等を調査し、工事を施工する能力があるか及び経営状態が著しく悪化していないかを確認する。
(イ) 信用調査機関における信用情報の有無について確認する。
サ 建設副産物の搬出先
内容について以下の調査を行う。
(ア) 建設副産物の搬出予定地や処理体制等が特記仕様書等に合致しているかを確認する。
(イ) 適正な処理を行っている搬出先を選定しているか(処理価格を含む。)を確認する。
(3) (1)で提出された書類に基づき、当該入札者から聴取し、低入札価格調査書(別紙2―2~2―4)を作成し、低入札価格調査結果審査申請書(別紙5)に意見を付し、低入札価格調査委員会へ報告するものとする。
(4) 調査対象者が、調査を拒否し、又は協力しない場合は、契約内容に適合した履行がされないおそれがないことが証明されないことから、この場合は、「当該契約の内容に適合した履行がされないおそれがある」に該当するものである。
(低入札価格調査委員会による落札者の決定)
第11条 低入札価格調査委員会は、契約担当者等が作成した低入札価格調査結果審査申請書(別紙5)及び低入札価格調査書(別紙2―2~2―4)を審査の上、契約の適否を決定する。
(合理的な理由があると認められる基準)
第12条 合理的な理由があると認められる場合は、次のすべてに合致する場合とする。ただし、具体的な施工が困難と判断される理由又はその心証が得られなかった場合は、当該入札者と契約しなければならない。
(1) 経営状況が危険でないと判断されること。
(2) 工事費内訳書及びその内容の聴取により、資材、建設機械及び労務者の供給が著しく困難とは認められないこと。
(3) 手持工事量等の状況から受注意欲の高さに合理的理由が認められること。
(調査の結果、適正な履行が行われると認められる場合の措置)
第13条 調査の結果、当該入札価格によっても契約の内容に適合した履行が行われ、かつ、公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがないと認めたときは、直ちに当該入札者を落札者と決定し、その旨を別紙4を参考として入札参加者全員に通知する。
(調査の結果、適正な履行が行われると認められない場合の措置)
第14条 調査の結果、当該入札価格によっては契約の内容に適合した履行がされないおそれがあり、又は公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあって著しく不適当であると認めたときは、予定価格の範囲内の価格をもって申込みをした他の者のうち最低の価格をもって申込みをした者(以下「次順位者」という。)を落札者と決定する。なお、次順位者が調査基準価格に満たない入札者であった場合には、第10条と同様の手続による。
(次順位者を落札者とした場合の措置)
第15条 契約担当者等は、次順位者を落札者とした場合は、その旨を入札参加者全員へ通知するものとする。
(調査結果の概要の公表)
第16条 契約担当者等は、調査結果の概要を、次に定めるところにより公表するものとする。
(1) 契約担当者等は、契約締結後、別紙2―4及び別紙5により調査結果等の概要を公表するものとする。
(2) (1)の公表は、契約担当課の所定の場所において、閲覧に供することにより行うものとし、その期間は、公表した日の翌日から起算して1年間が経過する日までとする。
(適正な施工の確保)
第17条 調査基準価格に満たない価格で入札した者を落札者とした場合においては、適正な施工を確保するため次に掲げる措置をとるものとする。
(1) 施工体制台帳の提出及びその内容のヒアリング
監督職員は、請負業者に対して、施工体制台帳の提出を求めるものとする。施工体制台帳の提出に際しては、必要に応じて請負業者からその内容についてヒアリングを行うものとする。
(2) 施工計画書の内容のヒアリング
監督職員は、施工計画書の提出に際しては、必要に応じて請負業者からその内容についてヒアリングを行うものとする。
(3) 重点的な監督業務の実施
監督職員は、当該工事に係る監督業務において段階確認、施工の検査等を実施するに当たっては、立ち会うことを原則として、入念に行うものとする。また、あらかじめ提出された施工体制台帳及び施工計画書の記載内容に沿った施工が実施されているときは、その理由を現場代理人から詳細に聴くものとする。
(4) 労働安全担当官署との連携
監督職員は、安全な施工の確保及び労働者への適正な賃金支払の確保の観点から必要があると認めるときは、労働基準監督署の協力を得るなどして、施工現場の調査を行うものとする。
(5) 入念な検査の実施
検査職員は、調査報告書等を参考とし、特に入念な検査を行う。
(6) その他適正な施工の確保のため必要な措置
(特約条項)
第18条 調査基準価格に満たない価格で入札した者を落札者とした場合は、別記様式特記条項を加えて当該落札者と契約するものとする。
附則
この訓令は、公布の日から施行する。
附則(平成27年訓令第58号)
この規程は、公布の日から施行する。
附則(平成28年訓令第21号)
この訓令は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成28年訓令第33号)
この訓令は、平成28年7月1日から施行する。
附則(平成29年訓令第26号)
この訓令は、平成29年4月1日から施行する。
附則(令和元年訓令第27号)抄
(施行期日)
1 この訓令は、令和元年7月1日から施行し、同日以後に公告又は指名の通知を行う競争入札から適用する。
(鰺ヶ沢町低入札価格調査制度実施要領の経過措置)
3 第1項の規定にかかわらず、改正後の鰺ヶ沢町低入札価格調査制度実施要領領第4条第1項の規定(「100分の108」を「100分の110」に改める部分に限る。)は、令和元年10月1日以後に目的物等の引き渡しを行うものについて適用し、同日前に引き渡しを行うものについては、なお従前の例による。
附則(令和5年訓令第13号)
この訓令は、令和5年4月1日から施行する。